今日のお題はカルシウムです。
世の中では、いわゆる良い栄養素の代表格として
「摂れば摂るほどヘルシー」
みたいに扱われている風潮があるような気がしますが、
実際どんなような栄養素なのでしょうか?
Q&Aの形でどんどん答えていきたいと思います!
Q.「カルシウムは大事」とよく耳にしますが、具体的に体の中でどのような働きをしているのですか。
はっきり言って、答えは「いろいろ」としか言いようがありません。
カルシウムが骨と歯の主要な成分であるのは有名ですが、それ以外にも細胞の機能のいたるところに関わってきますので、細胞のカタマリである我々にすれば、あらゆるところに関係します。
例えば、
●神経が情報を伝えるのにもカルシウムは必須
ですし、
●筋肉一つ動かすのにもカルシウムは必須
です。
ですから、もしカルシウムの助けがなかったら、あなたはこの文章を読むことすらできません。
まず目が動かせませんし、文字にピントも合わせられませんし、マウスを持つ手も動かせないので読めません。
仮に目が動いても、見た文字の映像が脳まで伝えられませんし、もし伝わってもどんな文字か理解することもできません(笑)まさに八方塞がり。
というか、それ以前にそんな状態なら生きていませんが…。
人間を例にしましたが、あなたの愛犬、愛猫も同じです。
そう考えると、確かに極めて大切な栄養素ですね。
という事でまとめると、カルシウムの働きは、
1.骨や歯など、身体の構成成分になる
2.体内のさまざまな働きに関係している
↓
「 い ろ い ろ 」という感じです。
Q.カルシウムとビタミンDの関係を教えてください。
カルシウムとビタミンDは切っても切れない関係にあります。
簡単に言うと、「ビタミンDは身体のカルシウムを増やす」という働きがあります。
もう少し具体的に言うと、
●腸から吸収されるカルシウムの量を増やす
●腎臓から尿として捨てられるカルシウムの量を減らす
という仕組みで、カルシウムの量を増やしています。
ちなみに、ビタミンDは魚など動物性の食品に比較的多く含まれますが、しいたけなどのキノコにも結構含まれています。
また、ビタミンDは食事から摂るだけでなく、生き物は自分でも合成できますが、その合成のために日光を浴びることが必要です。
女性には何かと目のカタキにされやすい日光ですが、いじめられてばかりじゃ可哀想なので、よかったらそんな一面もあるんだと知ってあげて下さい。
Q.カルシウムの過剰や不足による問題はありますか。
別にカルシウムに限った話ではありませんが、多すぎても、少なすぎても害はあります。
それで、具体的にどんな害があるのかネットで検索でもしようものなら聞いた事もないような病名や異常がズラズラと出てきて訳が分からなくなるかもしれません。
あなたがカルシウムの専門家を目指すのなら話は別ですが、そうではないのなら、過剰や欠乏で起こることに関しては、これまた「いろいろ」と覚えておくのをおすすめします。
つまり、これも例えるなら、「社内で様々な仕事に関わっている人がいました。この人が働けなくなると、会社にどんな影響がありますか?」
↓
「 い ろ い ろ 」みたいな感じですね(笑)。
ちなみに…
イライラすると「カルシウム不足」なんて言われたりしますが、確かにカルシウムは脳の働きに深く関わっているものの、それだけで単純に原因がカルシウムだと結びつけることはできません。
カルシウムに限らず、こういう結構強引な結びつけの話って多いですから、あなたは気をつけて下さいね。
Q.カルシウムをしっかり摂らないと、すぐに欠乏症になりますか?
「私の作ったごはんでは、カルシウム不足が心配です!」
「卵の殻を、どれくらい足してあげればいいんでしょうか?」
指導士をしていると、こんな悲痛な(?)叫びを聴くことが少なくありません。
しかし結論から言うと、そんな簡単にカルシウム欠乏にはなりません。
大切な栄養素ですから、身体の方も体内の量を一定に保つために二重、三重の仕組みでカルシウムの量を調節しています。
ですから、通常はごはんに特別カルシウムを足す必要はありません。
そこまで怯えなくても大丈夫ですから、安心して下さいね。
Q.カルシウムの吸収率とは何ですか?
「腸からカルシウムがどれくらい吸収されやすいか?」の事です。
カルシウム源と一言で言っても、例えば卵の殻とほうれん草のカルシウムを比べれば、後者の方が吸収されやすいという違いがあります。
一般的に、【野菜類】【海藻類】は吸収率も高い優秀なカルシウム源です。
Q.カルシウムは食事からどうやって摂取すると効果的でしょうか。
繰り返しになりますが、「ふつうの食事」であれば特別カルシウムについて気をもむ必要はありません。
(「ふつうの食事」が知りたい方は各地で開催中の入門講座へどうぞ♪)
また、もう一つ大切なポイントとして、「そもそもカルシウムの事だけ考えていても仕方が無い」という視点も同時に持つようにして下さいね。
あと、「カルシウムとリンのバランスが大切」みたいな話も聞いたことがあるかもしれませんが、これも、ふつうの食事をしていればそんなに気にする必要はありません。
諸説ありますが、実際問題大丈夫ですので安心して下さいね。
Q.カルシウムが異常値でした!食事が悪かったのでしょうか?
カルシウムの量は血液検査で測る事が可能です。(厳密に言うと、血液中の濃度ですが)
そこで「多い!」「少ない!」なんて結果が出る事もあるかもしれません。
突然異常な結果が出たらびっくりしますよね。
しかし、その場合ですら、食事のせいでカルシウムが過剰・欠乏しているとは言いきれません。
なぜなら、食事以外の原因でもカルシウムの値は変化するからです。
何か起こるたびに
「私の与えた食事が悪かったんでしょうか?」
「食事で何とかならないでしょうか?」
と考えたくなる気持ちは良く分かりますが、食事が原因でない場合は、食事で対策を練っても大抵空振りです。
そんな時こそ、慌てず落ち着いて判断したいものですね。
…というわけで、カルシウムのまとめです。
重要な栄養素であるのは間違いないカルシウムですが、あなたが愛犬、愛猫にするべきは
「愛情を込めて、ふつうの食事を与えるだけ」
でOKです。
いろんな情報が世の中に出回っていて混乱するかもしれませんが、結論はシンプルなんですね。
ではでは、今回はこの辺りで。
ぜひとも楽しくペットとの食生活を送って下さいね!
(文章:伊藤大輔上級指導士)
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